14/12/21

 

 
ことばを口にして舌のうえで転がすと、それは熱によって溶けはじめ、冷たい水になった。そうしてすこしずつ飲み込んでいくと、ことばだった水はやがて喉をやわらかく潤し、そしていつのまにか感触を無くした。
目頭がぎゅうっと熱くなる。
すこし視界がぼやける。
おそらく誰もこのうつくしさを視ていない。うつくしいというだけで絶対なのはどうしてなのか。それがいつも苦しい。
夜、と読めば、その向こうに見知らぬいくつかの夜がひろがっていた。どれもが温かくやさしい情景だった。眼を閉じてそこから離れるとき、どこにも存在しない一室で、わたしはあなたの帰りをもうずっと待ち侘びていた。
遠くのほうから掴まれる。
見えるものが取り囲む。
どうして視るものと見えるものに差異があるの。
うつくしいというだけで、それはどこにもない。それなのに感じたものは手放せない。
文字のおく。
言葉のいろ。
口にすれば直に触れるそれ。
有るか無いかはどうやって決めるの。
 
 
 
 
 
 
 
 

16/09/23

 
 
 
 
解りやすくて的確な言葉を探しているわけじゃない。淡いそれがだんだん濃くなっていくみたいに、飛び散って鮮やかに焼き付くみたいに、錯綜してぼやけて混沌としているのがいい。
 
 
 


16/07/02

 
 
 
 
小さな四角をイメージする。それは額縁みたいな枠の感覚。文字が額縁になると同時に絵にもなる。きれいだ。小さくて纏まった形を思い浮かべている。三行くらいがうつくしくて好き。
 
  


16/09/13

 
 
 
きれいだと思ったらそれがすべてで、表現したそこには説明できる何かも、入っていける世界も、何もない。きれいだけがある。
それだけが見えて、それだけが感じられて、それだけで十分だから、表現したもの、表現されたものが何であるかをわたしはいつも知らない。知らないでいることがずっと気にかかっていたのに、いつのまにか知らなくても平気になった。
ひかりの加減で青緑に見える襖の絵を見ていたら、急にそんなことが思い出された。